事例
MSE型蓄電池の実態

MSEタイプの蓄電池の期待寿命は、7-9年となっています。当社がお客様の蓄電池を実際に診断した結果では、9年以上経過した
蓄電池の9割以上が80%の容量が保たれていることが分かっております。一方、期待寿命よりも早く容量低下(80%未満)の蓄電
池も4%発生しております。

MSE型蓄電池の実態グラフ
期待寿命以上

この事例は、設置後8年目から毎年短時間容量試験を行い、容量低下した蓄電池だけを交換し、可能な限り延命を図り、コスト
削減と品質管理の向上を同時実現を目標としている事例です。大部分の蓄電池の電気特性は良好で、容量80%以上を維持して
おります。一方で80%容量を下回っている蓄電池は、劣化のスピードが速くなるため、タイムリーな部分交換によって非常電源とし
ての品質を保持しております。

期待寿命以上に使用できているグラフ
期待寿命前に劣化

この事例は、設置後6年と期待寿命期に近い設備ですが、既に電気特性のバラつきが大きくなっており、容量80%未満のものが
50個中17個あります。蓄電池の容量低下は、内部抵抗の上昇でも確認できます。

期待寿命前に劣化しているグラフ
期待寿命前に劣化

この事例は、製造不良が原因と考えられる電気特性の低いセルを設置後10カ月目で1つ発見した事例です。
浮動電圧・起電力・放電電圧全てがほかのセルと比較して極端に低くなっています。内部抵抗値は正常のため、内部抵抗測定では、
発見しずらい事例です。

蓄電池製造不良のグラフ
販売実績

国内および海外の幅広いお客様にご活用いただいています。
(2023年4月現在  単位:台)

■ 販売台数

分類 台数 用途
1,2V用 6,12V用
電力関連 192 174 18
官公庁 106 70 36
道路関連 95 48 47
UPS 67 33 34
海外(12ヶ国) 51 35 16
蓄電池関連 48 30 18
鉄鋼・重工業・化学・石油・ガス 38 25 13
蓄電池メーカ 26 16 10
その他 24 15 9
総計 647 446 201

■ 業種別比率

販売実績円グラフ

診断実績

数多くの診断データをもとにしたノウハウで、適切な蓄電池運用をご支援します。
(2023年4月現在  単位:セル)

■ 蓄電池種類別

蓄電池種別 合計 診断結果
良品 注意 使用不能
制御弁式 53,022 48,367 3,644 1,011
制御弁式(長寿命型) 27,114 22,191 4,339 584
アルカリ 19,954 17,212 2,298 444
CS 19,019 17,862 909
248
HS 12,849 9,177 3,557 115
海外・他 1,571 1,275 183 113
小型 421 405 7 9
小型(長寿命型) 115 35 76 4
総計 134,065 116,524 15,013 2,528

■ 業種別

業種 合計
工場 52,191
電力会社 28,945
ビル 19,737
官公庁 13,132
放送局 12,054
通信会社 3,702
鉄道 2,435
病院 1,162
道路 707
総計 134,065

FAQ

Q.劣化診断が可能な蓄電池の種類を知りたいのですが?


A.産業用蓄電池は全て可能です。
     鉛蓄電池(制御弁式・CS型・HS型等)        :2V系蓄電池
     アルカリ型蓄電池(AHH型・AH型・AMH型・AM型):1V系蓄電池
     4V用蓄電池、6V用蓄電池、12V用蓄電池の診断も可能です。


Q.診断時、蓄電池設備の停止は必要ですか?


A.各セルの電気特性を順番に測定する方式のため、蓄電池設備の運用中にその測定が可能となります。
   したがいまして、蓄電池設備の停止は一切必要ありません。


Q.全数検査ですか?それとも抜き取り検査ですか?


A.全数検査が基本です。
   抜き取り検査では未測定セルの電気特性が不明のため、設備の信頼性把握に欠けます。


Q.診断時間はどのくらいですか?


A.直流電源装置(52セル前後)で2時間ほどです。
   1日で3〜5セットの設備診断が可能です。(ただし、作業場所または環境により変わります。)


Q.放電させる電流値はどのくらいですか?


A.基本的には1Cで放電させます。
   たとえばMSE-200の蓄電池では200Aで放電させます。(これを1Cといいます。)
   UPSシステムでは設計上3C放電(600A)が一般的ですが、弊社ではその1/3の電流値で放電いたします。
   この方式によるフィールド実績は、18年近くになります。


Q.何故放電検査が必要なのですか?


A.蓄電池設備の本来の目的は、電気系統等の停電が発生した際に健全にそのパワーを放出できるか否かにあります。
   一般的な蓄電池点検では、放電を必要としない静特性検査(浮動電圧測定、内部抵抗測定等)で代用されています。
   蓄電池の劣化要因は、起電力値の低下、内部抵抗値の増加等が一般的です。
   従来の静特性検査では、起電力値の劣化もしくは残存容量値を算出することはできません。
   弊社では、本来の電気特性を見極める動特性検査により、放電特性、起電力値、内部抵抗値、残存容量値を計測可能にし、
   蓄電池設備診断の信頼性をより一層向上させています。


Q.診断時、負荷設備への影響はありますか?


A.各セル毎に1C放電を実施します。その際の該当セルの電圧変動は極めて少なく、負荷設備へ悪影響を与えることは
   ありません。
   弊社の診断実績では、過去11万セル以上の放電検査を健全に実施しております。


Q.劣化した蓄電池に短時間放電をさせると、蓄電池へ悪影響を与えますか?


A.0.5秒間の短時間放電のため、診断による蓄電池の放電容量は約1/4000と微小であり、基本的には蓄電池を劣化させる
   ことはありません。
   一方、劣化した蓄電池を放電させた場合は以下のメカニズムとなります。
   劣化している蓄電池は既に起電力が低下、もしくは内部抵抗が増大しています。弊社の診断装置は放電電流値を自動制御
   していますので、放電電流はその数値に見合った値となり、劣化した蓄電池への悪影響はありません。
   【例:MSE300AH】 
   一般的な内部抵抗初期値は0.35mΩです。 仮に内部抵抗値が50mΩ(完全劣化)であるとすると、その際に
   放電可能な電流値は I = 2(V) / 50mΩ * 1000
                   = 40 A  となります。
   即ち、1Cの放電電流ではなく、内部抵抗値等に応じた電流値に抑制されます。
   また放電終了後に回復電圧も自動計測しているため信頼性が高まり安心です。


Q.診断結果報告書の作成に時間がかかりますか?


A.診断終了後、速やかに仮報告書(印刷物)を作成し、詳細説明を含め当日にご提出いたします。
   正式報告書は1週間前後でご提出いたします。


Q.劣化したセルが寿命期に数個発見された場合、全数交換となるのですか?


A.一時修繕として、該当セルの交換もしくは取り外し等により設備の信頼性を維持することが先決です。
   未交換セルについては、特性を見極めながら全面更新の時期を推測することが可能です。(ただし各セルの外観に異常のない場合)
   設備保全コストを限りなく低減させる方法の1つです。


Q.特性の著しく劣化したセルが1セルでも含まれると、停電時に問題となりますか?


A.蓄電池は直列に接続されているため、1セルでも著しく特性の劣化した蓄電池が含まれていると停電時にそのセルによる
   電圧降下が多大となり、停電保証時間が極端に短くなり非常に危険です。
   該当セルをラインより取り外すことでその設備の信頼性を維持することが可能です。


Q.蓄電池設備を更新する場合、技術的なコンサルは可能ですか?


A.細部にわたりサポートいたします。
   更新に必要な報告書を取りまとめ、現在の負荷設備容量に適した蓄電池の容量選定をいたします。
   一概にはいえませんが、実際の負荷率は30%〜50%の場合がほとんどです。
   負荷容量値が実際に小さい場合、更新する際の蓄電値容量を下げることが可能となり、設備コストの削減につながります。


Q.期待寿命期に近づいた蓄電池はすべて劣化しているといわれるのですが


A.劣化の有無については全セルの電気特性を調べない限り判断できません。
   使用環境(周囲温度・負荷率等)により異なりますが、全てのセルが期待寿命期に同時に劣化する可能性は極めて低いと
   考えております。
   電気特性のバラツキは使用年数に応じて当然生じてきますが、期待寿命期を超えても正常なセルが数多くあることが弊社の
   診断実績より検証されています。
   また、弊社で診断を実施した大多数の蓄電池設備は健全に継続使用されています。


Q.技術的なノウハウは受けられますか?


A.短時間放電に関わるノウハウを知り尽くした国内最初の開発者を含めスタッフ一同で万全なサポートをいたします。


Q.パソコンのOSをアップグレードしたら、データ収集ができなくなりました


A.手順のとおり設定してください。